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言語類型論・認知言語学から「認知類型論」へ

堀江 薫(名古屋大学教授)

私は1988年に渡米し、南カリフォルニア大学大学院でB.コムリー教授のもとで言語類型論と言語普遍性の研究に取り組み、1993年に言語学博士号(Ph.D. in Linguistics)を取得しました。私が大学院生として米国に滞在した1990年前後は、言語類型論と認知言語学の両分野の発展期であり、多くの知的刺激を受けました。Ph.D.論文では「知覚動詞・認識動詞の補文」の構文と意味の相互関係に関する類型論的バリエーションを認知言語学の手法を用いて分析し、Japanese/Korean Linguisticsの第一回大会(1989年、於UCLA)やCLS(シカゴ言語学会)、国際認知言語学会、国際歴史言語学会等で研究の一端を発表しました。

その後1994年4月に帰国し、以来東北大学において16年間にわたって大学院において日本語を中心とする言語類型論、認知言語学、対照言語学分野の研究教育を行い、多くの大学院生とともに充実した時間を過ごしました。その間Complementation: Cognitive and Functional Perspectives (2000年、John Benjamins)、Cognitive-Functional Linguistics in an East Asian Context (2001年、くろしお出版)、『対照言語学の新展開』(2004年、ひつじ書房)という3本の論文集を編むことができました。

また2002年から2006年にかけては東北大学21世紀COEプログラム「言語・認知総合科学戦略研究教育拠点」リーダーとして言語学、特に言語類型論と脳科学の融合的研究・教育を推進し、多くの博士課程修了者、ポスドクが大学や研究所などの研究教育職に就くキャリアパスの道筋をつけることができました。このプログラムの中で育ってきた若手研究者の研究成果を最近『言語・脳・認知の科学と外国語習得』(2009年、ひつじ書房)として出版しました。

この16年間は、William Croft氏や池上嘉彦氏を先駆者として認知言語学と言語類型論の融合的研究が進んだ時期でした。この融合研究分野は「認知類型論(Cognitive Typology)」と称されます。私自身も博士論文以来探求してきた認知類型論的研究をプラシャント・パルデシ氏(前東北大COEポスドク研究員、現国立国語研究所準教授)とともに推進し、共著で『言語のタイポロジー −認知類型論のアプローチ−』(2009年、研究社、認知言語学のフロンティアシリーズ第5巻)を上梓しました。

2010年4月からは、16年間の東北大学での研究教育生活を終え、名古屋大学大学院国際言語文化研究科応用言語学講座に移籍することになりました。この春からは、名古屋大学の新たな研究教育環境で大学院生とともに言語類型論、認知言語学、そして認知類型論の研究を進めていきたいと思っています。

堀江 薫先生の最新刊

2010年4月30日 掲載


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