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日本語の知識は英語学習に役に立つ

中村捷(東北大学教授)

 日本語と英語は非常に異なる言語であると思っている人が多いでしょう。しかし最近の研究ではその違いはそんなに大きなものではないことが明らかになっています。日本語と英語の違いの基本的な部分を知っておくと、英語学習に日本語の知識を活用することができます。英語と日本語を比較すると次のような違いがあります。

日本語はSOV: 英語はSVO
(1) a. ジョンは[動詞句メアリーを愛している]。(SOV)
   b. John [VP loves Mary]. (SVO)
関係節は日本語では名詞に先行し、英語では名詞に後続する。
(2) a. [動詞句 ジョンが飼っていたネコ]が家からいなくなった。
   b. [NP The cat that John kept] was away from home.
日本語では後置詞: 英語では前置詞
(3) a. 東京から
   b. from Tokyo

この違いは、日本語には (I) の原則が、英語には (II) の原則があるからです。

(I) 日本語では句の中心となる語が句の最後にくる。
(II) 英語では句の中心となる語が句の先頭にくる。

 語が集まって句(phrase)という単位を作りますが、句には必ずその中心となる語があります。例えば「あの美しい絵」は「あの・美しい・絵」という3つの単語からなっている句ですし、that beautiful paintingも同様に3つの単語からなっている句です。この句の中心となっている語は名詞(N)の「絵」・paintingですから、この句を名詞句(NP=Noun Phrase)とよびます。名詞句の他に形容詞句(AP)、動詞句(VP)、副詞句(AdvP)、前置詞句(PP)などがあります。これらの句の中心となる語の位置を決定するのが上記の原則です。

 原則 (I) により、日本語の動詞句では動詞が句の最後にきますからSOV (1a) となり、原則 (II) により、英語では動詞が先頭にきますからSVO (1b) となります。同様にして、(2a) では関係節が中心語である名詞の前にきます。英語の名詞句では、冠詞や形容詞などの修飾要素がつくので中心となる名詞を見つけるのが少しむずかしくなりますが、これらの修飾語を除いてみると、句の中心となる名詞が句の先頭にくることがわかります。したがって、関係節は名詞の後にきます。(3) では、英語では中心となる前置詞がその句の先頭にきますし、日本語では中心語は末尾にきますから後置詞となります。

 このように、日本語と英語の間にはかなり規則的な対応関係があります。このような関係を理解すると、日本語の知識は英語の学習に大いに利用できる知識であることがわかります。

中村捷先生の最新刊

2007年1月19日 掲載


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